2013年1月3日木曜日

草言

         ・・・北田傀子

 創刊号といっても格別の気負いはありません。
 いままで『随句メイト』としていた例会の資料を、『草原』と名を改めて公開し、わたしたちの目指す随句に理解と共感を得たいと願ってのものです。
 この先何年でもあるまいに、えらく無理をするなあ、と言われそうですが、何年もないからこその『草原』と思うことにしています。それに、そう無理とも思っていないのです。
 今までにも草原はわたしの仕事場でした。それも暑い盛りの草取りが使命といったことで、いわゆるボランティアを十数年続けてきたのでした。これからは別の意味での草原に立ち向かうことになります。
 わたしの随句は、自然でまともな行き方を目指すもので、意味も分からないような「詩ぶり」作品や、自由を履き違えた野放図なものでなく、人間の感性の基本にある瞬間的ひらめきを原点とした作品に迫ろうとするものです。さらに、それがダイレクトに伝わるためには、日本の本来の言語をベースに置いていなければならないと考えます。
 誰にもわかる、まともなものでなければ世の中に通じないし、おそらく後世に残らないだろうと思います。わたしたちの考えや行動を古いという人がいますが、古い新しいというのはわたしの頭にはありません。古くても新しくても自然でまともなものが良いのです。
 山頭火も放哉も抱壷も顕信も意味のわからない作品など残してはいません。立派な規範があるのですから、同じ道を歩きたいと思います。(野火 平成十五年一月創刊号巻頭言)

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