2013年2月8日金曜日

草原再訪(第2回)

         ・・・馬場古戸暢

 朝の浜辺の貝殻に影がある  啓司
浜辺を日常としている人の景だろう。そうでもないとなかなか気付けない。

 帆柱の先に前を向いて鴎  啓司
なんとなく、米米クラブの浪漫飛行のPVを思い出した。

 大晦日の小さな地球儀回している  裕子
今年最後の仕事を終えて、休んでいるところだろう。年も回るが世界も回る。

 汗かいた笑顔が走って来た  としこ
お孫さんかあるいは旦那さんかほかの誰かだろうか。元気な様が伝わってくる。

 笑顔のまん中に冷酒  としこ
冷酒を囲んで一杯やっているところだろう。「冷酒を囲んで笑顔」でも面白い。

 つくづく親の仕草のおさなご  幸市
お孫さんの景かと思う。自身の息子さんの仕草と似ているところをみつけたのだ。

 自転車乗れてビデオの笑顔になる  幸市
自転車の練習の様をビデオで撮っていたのだろう。そういえば、このように成長記録をつける家庭が結構あることを、最近になって知って驚いた。

 離れの渡り廊下を紅葉がくる  昭代
壁のない、外に出た渡り廊下だろう。紅葉に囲まれて、なかなか風流である。

 露天風呂の海風に吹かれて浮く  昭代
「浮く」がよい。このまま海と一体化しそうだ。

 老臭忘れて会話していた  多喜夫
なんともいえない読後感がある。なぜ忘れたことに気付いたのかが気になる。

0 件のコメント:

コメントを投稿