2013年6月5日水曜日

草原再訪(第4回)

         ・・・馬場古戸暢

 長い葬列の後ろは冬の雨になっている  幸一
多くの人が故人を偲びにやって来たのだろう。ふと葬列の後ろに目をやると、いつのまにか外では雨が降り出していた。寂しさを助長させる。

 帰る時刻の引き潮の岩の形  恵子
海辺に遊びに来たのだろう。ちょうど帰るその頃に、岩がきれいに外へあらわれた。こんな形をしていたのかと、夕陽を背に帰路につくのだった。

 よく見れば石もいろいろ  多喜夫
当たり前すぎるが、採る。こういう句を読みたい(詠みたい)時もあるのである。

 障子の明るさも春になった  水娥
共感できた。障子にも四季があるのだ。

 この年でこの町に来てぺんぺん草  へら彦
自身をぺんぺん草に投影させたか。歌いたくなる句である。

 歩き始めた電話は春の雨の日  暁子
春の雨が祝福しているかのようである。この子の未来に幸多からんことを。

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